「お、チルノか」
いつものように、博麗神社の境内に来た私。
「あ! 魔理沙っ!」
そこには、先客となるチルノが居た。
「おいチルノ。霊夢はどうした?」
さっさと茶が飲みたいんだが。
「霊夢はいないよ。どっか行ってんじゃない?」
あたいも用があるのに、とむくれるチルノ。
ふむ、霊夢は居ない、か。
……じゃあ暇つぶしにこいつをからかってやろう。
「よーしチルノ。霊夢が帰ってくるまで暇つぶししようぜ」
「分かったわ」
私の提案をノリノリで承諾するチルノ。よし、それじゃあ定番のあれでいこう。
「じゃあ今から『なんで?』って言ったら負けな」
「なんだ、そんな事? 分かった」
「はい私の勝ち」
「え? どうして?」
「はい、アウト……ってアレ?」
キョトンとするチルノ。
アウトじゃなくてツッコミ辛い私。
……どーすんだ、このビミョーな空気。
「あー、じゃあ『なんで?』はやめにしようか」
「え、なんで?」
ここで言うのかよ、オイ。
「どっちにしろお前の負けな」
「あッ! ……くー、騙されたー」
悔しそうな顔をするチルノ。
私は勝った気にもなれないんだが。
「じゃあ、『ピザ』って10回言ってみ」
「えっと、ピザ×10」
「ちゃんと言え」
「うえー、めんどくさー……」
チルノは渋い表情をしつつ、
「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
「じゃあここは?」
定番の、ひじを指差す私。
「うで」
「残念、ひじでしたー」
「うえー! 騙されたー!」
騙した気分に妙になれないんだが。
腕って一応当たってるし。
むむむ。何かしてやらないと気がすまねぇ。
「んー……。じゃあ『シカ』って10回な」
「シカと10回言ったわ!」
「ちゃんと言えよこの野郎」
「めんどくさいなぁ、シカシカシカシカシカシカシカシカシカシカ!」
「サンタが乗ってるのは!」
「乗り物!」
「残念、ソリでしたー」
「うわー騙されたー!」
やっべぇ。つまんねぇ。
いや待て。まだだ。まだ何かあるだろ? 私……。
「よーし、じゃあ次はこれだ。パンはパンでも食べられないパンはなーんだ?」
普通のヤツなら多分、『フライパン』とでも言うだろう。
だが、そんなのはパンじゃない。食えないパンなんか『腐ったパン』に決まっている。
チルノならこれに見事引っかかって――
「アンパン。あたい、あんこは嫌いで……」
「誰が好き嫌い言えっつったあああああああああああ!」
ダメだ。チルノのペースに逆に私が乱されている。
次こそ決める……!
「次はコイツ。暑い日に親切な事を言ってくれる鳥ってなーんだ?」
こんな物は簡単だ、雀に決まっている。涼め、なんてな。
フライパンの件は簡単すぎて、チルノが「フライパン!」とひっかかると思って出したが、それはまぁ予想の斜め上だったからどうでも良いとして。
普通に頭を捻らなきゃならない問題ならこいつは確実に間違えるだろう。
チルノは余裕の表情を浮かべて、
「やだなぁ魔理沙。鳥が喋る訳ないじゃん」
「よーし落ち着けチルノ。これはな、なぞなぞなんだ」
「何それ? 食えんの?」
この野郎。久々に私の拳が唸りそうだぜ。
いや、待て。問題でギャフンと言わさなきゃ気がすまねぇ。
チルノはまともに答えている訳じゃないが、私が納得いかないからやる。それだけだ。
「これでどうだ? きってもきってもきれないものはなーんだ?」
「簡単、簡単」
チルノはポンと手を叩く。何だと? 流石に簡単過ぎたのか?
「あたいと魔理沙!」
「は?」
チルノは満面の笑みをしている。
「ど、どういうことだよ?」
思わず聞き返してしまう。
「だってそうでしょ? あたいと魔理沙はきってもきれない関係なんだって!」
こ、コイツ何を言ってやがる!
「お、おまっ……チクショオーーーー!」
完敗だった。色々と。
==あとがき==
ようやっと好きなチルノを小説に出せたような気がします。(ぉぃ
魔理沙はやれやれだぜ、とか言いながら面倒見のいい感じ? とかなんとか。
そんなもんですよね!(ぉぃ
うん……。
落ち込むと何か打ち込めますね。
自分がびっくりするくらい速筆に(ぉぃ
それではー。
戻る